電力需要が高まるなか、世界で開発が進められている次世代の原子炉「小型原子炉(小型モジュール炉/SMR)」が注目されています。
政策の追い風が吹く長期的な投資テーマ、小型原子炉の関連銘柄を紹介します!
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目次
注目を集める小型原子炉
大手IT企業が原子炉に投資するワケ
アメリカではGoogleやAmazonといった大手IT企業が小型原子炉の開発に投資をしています。
これはAI(人工知能)の拡大で電力需要が急激に高まっており、今のうちから電力の供給元を確保していこうという動きによるもの。
また小型原子炉がクリーンなエネルギー源であるため、発電需要が高い企業にとって、環境目標の達成も期待できる投資先として注目されています。
そもそも小型原子炉とは?
その名の通り、原子力発電所を小さくしたものです。
一般的な日本の原子力発電所100万キロワット(kW)もの電力を発電でき、発電力の強さから安全性を確保するために、広い土地が必要とされています。
小型原子炉の最大出力は30万kW以下と従来より少なく、サイズも小さいことに加え、安全性も高いので、場所の制約をあまり受けず、電力需要がある場所の近くに設置することができます。
また設置する場所でゼロから建築するのではなく、原子炉の製造を集約できるため、販売が伸びればコストが低くなるメリットもあります。
従来の原子炉より場所の制約がゆるく、いろんな場所にクリーンな電力を供給できるようになるのが小型原子炉なのです。
小型原子炉の見通し
発表済みの目標を実行した場合の原子力発電容量見通し(GW) |
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出典:IEA「The Path to a New Era for Nuclear Energy」(2025年1月) |
国際エネルギー機関(IEA)は、小型原子炉による発電量は2050年には最大で120ギガワット(原子力発電容量の14%)となると予測しています。
日本に限れば、日本政府は2025年2月に閣議決定された「第7次エネルギー基本計画」で、原子力発電について以下の目標を掲げています。
- 安全性を確保しながら必要な規模を持続的に活用
- 核燃料サイクルや廃炉、最終処分といったプロセスの加速化
- 既存の原子力発電所の再稼働と活用
- 次世代革新炉の開発と設置
- 海外の原子力安全の向上に貢献
これらの政策により、2040年のエネルギー自給率を2023年の15%から3~4割に引き上げ、原子力発電による電力供給構成比も8.5%から2割程度まで引き上げる方針です。
経済産業省は2030年代には国内で小型原子炉を製作・建設する目標としており、政策の追い風が吹く長期的な投資テーマといえるでしょう。
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小型原子炉の関連株11銘柄
ここからは小型原子炉に関連する株をご紹介します。
いずれの企業も売上構成比は大きくはないようですが、たとえば東洋炭素の株価のように、単発の契約が発表されるなどで期待先行で上げていく可能性はあります。
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日立製作所(6501)
日立製作所は米GEベノルバ社との合弁会社を通じて、小型原子炉「BWRX-300」の開発を進めています。
2025年5月にはカナダで小型原子炉の建設を始めると発表。2030年末までの運転開始を目指しています。カナダの初号機を足掛かりとした他国への展開に注目です。
日立製作所はデータセンター向けにさまざまなソリューションを提供していますが、将来的には小型原子炉と組み合わせたモデルの構築を視野にいれており、日立製作所ならではの価値創出を目指しています
ほかにも、既存の原子炉と似た設計で安全性を高めた「革新軽水炉」の開発にも取り組んでいます。

三菱電機(6503)
三菱電機は米政府より原子炉設計の支援を受ける米国ホルテック社と協業しています。
2022年には小型原子炉「SMR-160」向けの計装制御システム(原子炉を監視し、制御を行うシステム)の設計契約を締結しました。
ホルテック社は米国での初号機建設に向けた開発や許認可を取得し、受注済みの初号機を2030年度に運転開始する予定です。
三菱電機は欧州などへの拡販を目指し、他社との協業や買収を通じてグローバルでのポジションの確立を目指すと表明しています。

三菱重工業(7011)
三菱重工業は原子力発電所の開発や製造、保守サービスをトータルで提供しています。
小型原子炉に加え、日立製作所と同じく革新軽水炉の開発にも取り組んでいます。
またトラックで運べる大きさでの超小型原子炉(マイクロ炉)も開発。運用開始は2040年と先ですが、小型原子炉に留まらない貢献が期待されます。
防衛関連の事業も拡大しており、まさに国策に乗った企業といえるでしょう。

IHI(7013)
IHIは小型原子炉を開発する米ニュースケール社に出資しています。
ニュースケール社はルーマニアで小型原子炉の建設を計画。2029 年にはアメリカでの商業運転開始を目指しています。
IHI自身も原子力発電所向け主要機器の設計、製作、保守点検を実施しており、同社部品を供給していきたい考えです。

日本製鋼所(5631)
日本製鋼所は原子力向けに大型の鍛造品部材を製造できる世界有数のメーカーです。
原子炉向けの材料で求められる技術力は高く、規制が厳しいこともあり、同分野では強いポジションを築いています。
2024年11月には北米の小型原子炉向けの部材を受注したと発表しました。受注された部材は製造の難しいもので、今後も受注が期待できると自信を示しています。

日揮ホールディングス(1963)
日揮ホールディングスはLNG(液化天然ガス)や発電などのプラント設計、建設を手掛けています。
IHIと同様、米国ニュースケール社に出資しています。
原子力の分野では、使用済み核燃料再処理施設などのプロジェクトの実績もあります。
2040年までのグループ長期経営ビジョンの一つの注力分野として小型原子炉をあげており、今後は海外のニュースケール社のプロジェクト受注を目指すとしています。

東洋炭素(5310)
東洋炭素は黒鉛材料を素材として、カーボン製品の製造や加工、販売を手掛けており、原子炉向けでは、原子炉内の構造物に使用される黒鉛素材を製造しています。
2024年4月にはフランスJimmy Energy SAS社より、高温マイクロ原子炉向けの黒鉛製品を受注しました。
2029年までの中期経営計画では、次世代原子炉向けの需要獲得を狙うとしています。

荏原製作所(6361)
荏原製作所はポンプやコンプレッサーなどを製造するメーカーです。
ビルやマンションで使われる一般的なポンプ「標準ポンプ」で国内シェア1位と強固なポジションを築ています。
原子力の分野では、冷却材などを循環させる「冷却材再循環ポンプ」を国内で唯一製造しており、技術力で差別化されている点に注目です。

岡野バルブ製造(6492)
岡野バルブ製造は発電所向けバルブを製造、販売しています。原子力発電所向けの割合が高い点で、既存原子炉の再稼働や小型原子炉の開発に恩恵を受ける可能性があります。
原子力関連ではバルブの開発だけでなく、廃炉事業も開始し、売上に貢献しています。
日経新聞は米ニュースケールなどがアジアで小型原子炉を提供する際、バルブのサプライヤーを目指すと報道1しており、今後の展開が期待されます。

TVE(6466)
発電所向けの高温高圧バルブや、その他産業用バルブを製造、販売しています。岡野バルブ製造と同様、原子力発電所向けにバルブを供給しています。
新規の供給だけでなく、再稼働した原発の定期検査や修繕工事など、メンテナンス事業の売上貢献も高まっています。
2028年9月までの中期経営計画では、次世代原子炉や小型原子炉に対応するバルブや周辺装置を開発する計画を発表しました。

大同特殊鋼(5471)
大同特殊鋼は強度の高い鋼材である特殊鋼鋼材を主に取り扱うメーカーです。自動車・産業機械などに向けて素材を提供しています。
原子力向けの部材を40年以上製造しており、今後は小型原子炉向けにも部材を供給する計画です。
小型原子炉では耐久性に優れた材料が必要で、技術力が求められる領域で、製造技術開発に取り組んでいます。


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- 日本経済新聞「岡野バルブ製造、次世代原発向けに照準 小型炉など」より(2023年4月5日) ↩︎